「そこにみんなの住む町があるから」
「なぜ、山に登るのか」という問いに「そこに山があるから」と答えたのは、登山家ジョージ・マロリーだった。特定非営利活動法人クライムは、この言葉を暮らしの視点から読み替える。障がいのある人がその町で暮らすのは、そこにみんなの住む町があるから——。神奈川県相模原市中央区を拠点とするこの団体は、あたりまえの日常を送りたいという願いを、社会の側から支える役目を引き受けている。
みんなの住む町で自分らしく暮らしたい。楽しそうな場所があれば行ってみたい。その素朴な望みは、障がいの有無にかかわらず誰もが抱くものだ。特定非営利活動法人クライムは、そうしたあたりまえの願いが実際に叶うよう、制度外の会員制サービス「シェルパ・サポート」を立ち上げた。
暮らしの土台を、公私の両面から
あたりまえの暮らしを支えるために、特定非営利活動法人クライムは二つの側面から生活を受け持つ。障害者自立支援法に基づく居宅介護や重度訪問介護では、起床や就寝の介助、入浴、トイレ、食事の手伝いをスタッフが自宅で担う。家で過ごす一日の要所を支えることが、外へ出ていくための土台になる。
外出の場面では、同行援護や移動支援が力を発揮する。車椅子の利用者や知的障がいのある子供たちの買い物や余暇に付き添い、プールやスケート、電車での遠出まで共に向かう。福祉車両を使った福祉有償運送も備わり、目的地までの移動そのものが支援の対象になっている。制度の内と外を組み合わせることで、公的サービスだけでは手が回りにくい要望にも形が与えられる。
一人との絆を、社会につなげる
特定非営利活動法人クライムは、自分たちが大きな力を持つ団体ではないと率直に語る。支えられる人数はわずかで、つくれる輪は小さいかもしれない。それでも、その中で出会う一人と深い絆を結び、本人だけでなく家族も含めて支えることに軸を置いている。
一人の暮らしを支えることは、誰もが自分らしく生きられる町をつくることにつながっていく。相模原市中央区陽光台の事務所から、電話とメールで相談を受けている。番号は042-776-8133。安心して楽しく生きるためのパートナーとして、特定非営利活動法人クライムは日々の介助を続けている。


